特効薬はありません。あるとすれば、麻薬です。
ひとつ、わかったことがあるのだ。
私にとっては、わりと絶望でもあったのだけれども、言ってもいいかね。
あのねだな、
特効薬はどこにもない。
あるとすれば、それは麻薬だ。
これは、腹の底で実感すると、まじで愕然とするのだけども、
たぶんそうなのだわ。
なんでもそうだ、どこかに問題が起こると、
魔法のように解決できるなにかを、心のどこかでぜったい求めるのだよ。
でもね、それは、ない。たぶん、ぜったいに、ない。
もし、一瞬で問題を溶かすような劇的ななにかがあったとしたら、
それは長持ちはしないし、
へたすればそれに依存してしまうことになる。
もう、仕方のないことだわ。これは。
たとえば。
いま、楽しくない生活をしているとき。
その生活を変える劇的なものを欲するよね。
いい成績とれば、幸せになれるかもしれない。
仕事がもっとできるようになれば、幸せになれるかもしれない。
友だちがたくさんできれば、幸せになれるかもしれない。
綺麗になったら、幸せになれるかもしれない。
恋人ができたら、幸せになれるかもしれない。
なれません。
効き目があるのは、ほんの一瞬ですよ、それ。
ただの劇薬。
すぐ効果なくなるよ。
効き目がなくなると、また欲しくなるよ。
また手に入れて、でも、すぐきれて、
それがないと禁断症状がでて、
だからなんとかしてそれにすがりついて。
ふつうに、麻薬です。
依存症になっちゃうよ。
私もね、ずっと、ずっと欲しかったものがあって。
これさえあれば、ぜんぶ問題が解決するんじゃないかって思ってたものがあって。
類い稀なる幸運と多少の無理とのおかげで、それに見えるものが目のまえに差し出されたのだけども。
受け取れなかったね。
それを一瞬手に入れても、根本的に問題は何も変わらないなと気付いてしまったからかしら。
それに魔法の効力がないって、わかってしまったからかしら。
ほんとさ、なんでもいいけど、目のまえにある厄介な問題は、
自分の自然治癒力に頼るのがいちばんいい、と思うよ。
ていうか、それしかないんだわ、たぶん。
これ1錠で-10Kg!みたいな薬には手を出したらだめだ。副作用が大きすぎるから。
自分以外の何かが、自分を劇的に変えてくれるなんて、
そんなことはない。
ありえない。
はああ。
そうやって諦めるのは、とても悲しいのだけど。
たぶん、こう思っていたほうが、自分のためになるんだろうなと思う。
でもなあ、これはなあ。
たとえば、大阪から沖縄まで行こうとして、沖縄行きの飛行機をずーっと待ち続けたのに、「え?そんな便ありませんよ?」って言われた感じだわね。
あれ、新幹線は?それもない。車?私免許ない。
ん…?これは、鈍行&徒歩か…!?って途方にくれる感じ。
無茶だろって。
しばらく立ち尽くしてしまいそうだ。
うめざわ
※いま、窓際に洗濯した真っ白いふきんが8枚干してあるんだけど、このままオブジェにしたいくらいこの光景が好きだ。