やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

あんた日本人なのにアニメ嫌いなの!?

女性の病気っていう言い方の気持ち悪さ、か。確かにあるわ。

 
女性特有の病気もあるなら、男性特有の病気もあるだろうが。
それなのに女性のものだけが名前をつけられ、喧伝されるのは、
人体は男性がデフォルト、医学は男性が男性の体を見るというのが基本になってることの証だから、フェミニストたちはその呼び方を嫌うみたいな意見を聞いて、なるほどねえと。
 
その意見を知ったあとで、私が実際に、あなたは女の子なんだから女性特有の病気には気をつけて、って女の人から言われたときは、確かにわりと衝撃的だった。この気持ち悪さがどうしても説明できないのだけど、気持ち悪くてびっくりした。
 
まあ私は、自分が女性であるということをいまいち受け入れきれないというか、持て余し気味というか、要は、自分が女性であるがゆえに、女性に期待される役割があること(たとえば綺麗でいなさいとか、子どもを可愛がりなさい、でも仕事もしなさいとか)をうっとおしく思うし、うまく果たせない自分を嫌に思ったりするから、「あなたは女の子なんだからこうしなさい」っていうメッセージを極端に嫌うってのはあるんだけどもさ。
 
嫌なのよ、ほんと。
自分が選んだわけでもない要素をもってることで、自分が果たさねばならぬ役割があることがね。
性別は自分じゃ選べないんだから、それによって責任を負わせないでくれって思うわけ。
 
 
「女の人は、生物的に子ども産みたいって思うもんじゃないの?」とか男の人に言われたときには、やっぱりとにかく、やめてくれ、って思った。そんな訳あるかいな。私は子どもを可愛いがれる自信がほとんどないから今は欲しいとは思わんよ。私は生物学的におかしいのかいな?
 
母なら自分の産んだ子に100%の愛情を注げるはずだって無邪気に信じてる人もいるけど、自分の子どもを可愛いと思えなくて悩むお母さんもいるみたいよ。障害のある子どもをもったお母さんの『母親やめてもいいですか』って漫画もあるね。
 
 
「自分で選べないことは、その人のせいじゃないです」
って吉本隆明は言ったらしい(と糸井重里が書いてた)けど、ほんとにそうなんだと思う。
 
「え、あんた日本人ならアニメが好きなんじゃないの?」とか、
「日本人なのになんで寿司食べられないの!?」とか外国の人に言われたら、ちょっとギョッとするだろうと私は思うんだけどな。
いやいや日本人全員がアニメ好き寿司好きじゃあないぜって思うでしょ。
 
東京出身だからって巨人が好きなわけでもないし、
粉もん嫌いで内気な大阪人だっているでな。
そらそうだろうが。あたりまえよ。
 
日本人だから、
どこそこ出身の人だから、
男だから、女だから、
そんなもん自分で選んできたわけじゃないんだから、
そういう要素によって期待されることには、頑張って応えようとしなくていいと私は思う。
応えられなくても、自分を責めなくてもいいと思う。
 
たまたまそういう属性をもって生まれてしまっただけなんだからさあ、
それはあなたのせいじゃないでな。
 
理不尽で重たくて、でも無意識に周りの人がかぶせてくる気持ちの悪いもんは、わたしゃいらん!背負わんでいい!って思いたいもんよ。
 
うめざわ
※足の指5本が甲にむかって自然に90度近く反るのは、驚かれることだと知った23の夏。