やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

時間を見たい

 

時間が見えるとねえ、手ごたえがあるんだよな。

時間が流れていくこと、そして、流れた時間によって成し得たものが見えること、

それを確認すると、とても安心する。

 

5年くらい前からほとんど毎日日記をつけたりしてるんだけども、

毎日ページが増えていくのと安心するし、

読んだ本はタイトルをメモしておかないと、

読んだものがどっかいっちゃいそうでそわそわする。

 

まあ、いちばん時間が見えるのは、移動だな。

乗り物に乗るとき。

3時間前は家にいたのに、今はもうずいぶん北に来ちゃったとか、そういうの。

 

安心するんだよなあ。

自分はただ電車とか車とか船とかに乗って、ぼーっとしてるだけなんだけど、

気づけば、ちゃんと移動している。

 

自分の知らないところで、時間が動いてる安心感。

自分が何もしていなくても、きちんと物事が進んでいる安心感。

ああ、世界は動いてるって、それをすごく実感するのだよ。

 

ことに、船はいい。

デッキにあがって、

コンタクトレンズがとれるくらいの強風を浴びながら、

手すりにもたれて、ただただ海を眺める。

そうやって数時間。

 

退屈しないのよねえ。

だって、海は見えるし、風はあたるし、

船のエンジンの小刻みな振動も、大きな揺れも感じるし、

音は水をかいて進んでいくザーっというのが聞こえるし、

視覚から聴覚から触覚からいろんな情報が変わらず、ずーっと入ってくる。

 

何も考えなくても、何もしなくても、退屈しない。

それでいて、私が1時間ぼーっとしてても、ちゃんと40km進んでる。

すごい充実感があるのよね。何もしなくてもさ。

 

時間がちゃんと流れていることを体感できると、

世界は動いているし、私は生きてるなあってことを、しみじみ感じるのよねえ。

 

うめざわ

※人はただ座ってるだけでも、1日500kmとか移動すると、ずいぶん疲れることがわかった。ふしぎ。

※こっそり書くけど、やっぱりしばらく書かないでいると勝手が狂うな… やっぱり毎日書きたいね。