やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

何食べたい?って聞かないで

 「何食べたい?」って聞かれるのが苦痛だ。

ほんとだめなんだ。ほんとだめなんだ。

 

誰かといっしょにごはん行って、「何食べたい?」って言われるのが駄目。

私の希望はありません、あなたが食べたいものがいいですって、もうそれだけ。

とにかく、一緒にいる人が機嫌よくしてくれてたらそれでいいんだ。

私の希望は、あなたが機嫌よくいてくれることだけなので、とにかくあなたの好きなとこ選んでくださいって。

私が欲しいものは特にないけど、仮にあったとしても、そんなのにあなた様を付き合わせることなんかできません、あなた様がお選びくださいって思うわけ。

 

それを凝縮して、「なんでもいいよ〜」って言ちゃうんだけど、言ったら言ったで、ああめんどくさいこと言った私、うざいと思われてないだろうか、いや何でもいいとか一番うっとおしいよなこういうのが、ああごめんなさいごめんなさいごめんなさい、でも謝ったらさらにめんどくさいからまじでごめんなさい、黙っときますごめんなさいごめんなさいごめんなさいって、脳内でひたすら謝る。

 

で、お店選ぶときは、相手が一番行きたそうなところを察知して「私もそこがいい!」って便乗する。自分で決めたら、そこが良くなかったときに責任取らなきゃいけない感じがして、いたたまれなくて死にそうになるから、なるべく決めないようにする。あくまで相手が気に入ったところに乗っかるなら、外しても責任は感じなくて済むから。私よ、まじでカスだな。

メニュー選ぶときも、私はたいてい自分の欲しいもんなんかより、相手の顔色のほうが大事だから、相手が何選ぶか探りながら「私もそれ〜」とかって言うんだけど、それはそれで、またこいつ私と同じのにしやがってうっとおしいやつめ金魚のフンみたいだな自分で決めろよ馬鹿って相手が考えてるんじゃないかって勝手に妄想してごめんなさいごめんなさいごめんなさいってなるわけ。

 

自分のことより、相手の機嫌のほうが大事なわけ!ずっと他人の顔色伺ってるわけさ!

ほんとめんどくさいね!うっとおしいわ!

 

だから、私は、パスタ食べたい!とかこの店行きたい!とか、人といっしょでも構わず勝手に歩いちゃう人が好きだ。男女問わずね。

自分がしたいことに誰かを付き合わせることができる自信みたいなのが、私から見たらかっこよく映る。いいなあ。

いっしょにいても一番楽だし。だって、ひとりで勝手に楽しんでくれる人なら、私がこの人を楽しませる義務はなさそうだって思えるから。…ああなんか自分だめだな。

 

私は、自分のしたいことを誰かと一緒にするってのは基本無理なのだ。その人が楽しくなさそうだったら、まじで吐き気がするくらい怖くなるから駄目。うぅ。

 

私にとって「あなた何欲しい?」っていうのは、

「私があなたにあげたいと思ってるものを当てなさいよ」っていう脅迫でしかない。

「どこ行きたい?」も「何したい?」も「欲しいものは?」も超こわい。無理。

 

一人でなら、食べたいものも欲しいものも行きたいこともしたいこともあるけど、

それを誰かと一緒にするってなったら、あなたが機嫌よくしててくれないと私困るので、私のことはどうでもいいです選んでくださいってなる。

 

ほんとは、こんなのすごく嫌なんだけどね。

相手が機嫌いいのを見て笑うんじゃなくて、自分で勝手ににこにこしてたいよ。できないのが、本当に悲しい。いつになったらできるようになるかなあ。

 

うめざわ

※目の前の人の感情に責任があるって思うから、そうなるのだけどね。そんなん考えんでいいのに。わかってたって、一緒にいる人が不機嫌であるという状況は、私にとって書くだけで動悸がするくらいこわいことなんだぜ…