「本当は論」禁止
久しぶりに、至近距離からの直撃をくらった。
「それ、ほんまに好きな人に出会ってないからやろ」
うおおおおお。きたきた。きたきた。
「本当は違うでしょ」をナチュラルに振りかざす人。
いやあ、まじでこれ、ほんとうに暴力だと思うので、書くわ。
いやほら、私23の女子ですから、世間話ついでに「彼氏おるの?」って聞かれることもあるわけですよ。そのたびに自動的にこわばる顔の筋肉を社会性でゆるめて「いや〜いないんですよ〜(頬ぴくぴく)」って答えることはや幾年。
「えーなんでなん!?」
知らんがな!もう、めんどくせ、普段なら、おっちゃんたちに可愛がってもらってるからいいんです、とか、過去にいろいろやらかしたので謹慎中だとか、まあ適当に言うんだけど、その時はまあ、私がまあ、いわゆる恋愛関係のもつれでですな国家権力にお世話になるはめになったこととかを知ってる人がいたので、
「人と距離詰めるの怖いんですよ」
ってわりとほんとのことを言ったわけですが、そしたらきましたよ、上記のセリフ。
「それ、ほんまに好きな人と出会ってないからやろ?」
………。
で、出たー!!
「ボクは本当のことわかってるから、まだ本当のことをしらないかわいそうなあなたにアドバイスしてあげるよ!」を無自覚でやっちゃう君〜〜〜〜〜〜!
(ほら最近「繊細チンピラ」とかの小野ほりでいさん流行ってるじゃない)
「ほんまに好きな人やったら怖いとか考えてとどまったりせえへんやろ、ほんまに好きだったらでけへんやろ、近づけたら嬉しいやんあたりまえやん」って言われて、思わず黙ってしまった。
いや、一瞬思ったよ。
あなたはそうなのかもしれないが、私はそうじゃない。決めつけないでくれ。わからないならDVやストーカーがどういう仕組みで発生するのか教えてあげましょうか、加害者も被害者もどれだけ複雑な心理状況でそうなってるのか教えてあげましょうか、一度ならずも繰り返しそうなる人がどれだけの恐怖心を自分に持たざるを得ないかわかってますかとか。
でも、やめた。説明しなかった。
勝手な思い込みかも知れないけど、そういう人は、どこまで説明しても、
「いや、本当はそうじゃないんでしょ?」
「本当に好きな人だったらいいんでしょ?」
「それは本当に好きじゃないからだよ〜〜」
ってそれしか言わなくなることが多いから。ただただループ。
自分がマジョリティだと思っていて、だからその判断は正しいと疑いなく思っていて、だからそうじゃないあなたはまだ「本当のこと」を知らないだけだと、悪気なく思い込んでしまう。意識しないと、誰でも結構やってしまう。
これさあ、牛乳飲むとどうしても気分悪くなる人にさあ、「いやーいい牛乳飲んでないからだよ!」みたいに言ってるのと同じよ。
卵アレルギーだったら、いくらおいしい卵でも無理じゃん、倒れるじゃん。
とくに性的な話題で多いのよねこれ。
LGBTをテーマにしたNHKの番組(※)で、自分は女だけど女が好きだっていうと、どこかに必ず「それはいい男を知らないだけだ。俺が抱いてやろうか」っていう人がいると。
ふつーーの冗談めかした会話でも結構あるぜ。
「なんで彼女おらんの!興味ないて、おまえ男で女の子に興味ないわけないやろ!」
「え、まだ寝てないって、それほんとは好きじゃないんじゃないの!?」
「ほんとに好きだったら、それくらいするでしょ〜」
みたいなね。
こういう言葉を聞くたびに、とても怖いと思う。
自分がセクシャルマイノリティで迫害されてる気がするとかそういうことではなくて、他人に対する理解のなさ、かつその無自覚さが、ほんとうに怖いのだ。
ほんとにあなたは「普通」で「あたりまえ」で「正しい」の?
うめざわ
(※)上記のNHKの番組:探検バクモン “性”をめぐる大冒険 これによると、LGBTは20人に1人っていう調査もあるとのこと。自分はそうじゃない関係ないってなんで言い切れるんだろう。
※こういうのに関するいい意見教えてもらったのよねー。自分の性的嗜好に悩みをもつ人多いと思うんだけど、たぶんほんとは悩まなくてもいいことなんだろな…「ヴァニラ・セックス」