やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

バスケボールが飛んでくる

会話を言葉のキャッチボールだとするならば、
投げるのも受けるのも、野球ボールでないと困る。
 
世間話に傷つくとき、あなたに向かってきたボールは、
その一瞬だけバスケボールになったんだ。
それにあたったんだ。だから、痛い。
 
 
普通の世間話をする。つまり、スムーズなキャッチボールをする。適当に、軽く。
でもたまに、なぜか突然バスケボールが飛んでくる。
そのとき私はただボールにぶつかる。痛い。
 
相手は、軽く野球のボール投げたつもりなんだ。
なのに、私には、すごい速さのバスケボールが投げつけられたように見えてしまうことがある。
 
いきなり大きい豪速球が飛んでくる。
突然のことだから、体は硬直する。
よけることも、受け取ることもできずに、ただただボールにあたる。
 
 
そのときに2種類のショックを受ける。
ひとつめが、体の痛み。
顔面にボール受けたら鼻血が出るかもしれないし、胴体にあたってもアザだ。
もうひとつが、なんで急にそんなの投げたのよっていう怒り。
前触れなくボール変えないでよ。変えるにしても大きすぎるでしょ。いきなり投げつけないでよ痛いよ。ねえわざとなの?ねえ、ひどいよそんなの。怒りたくなるし、そこに相手の悪意を感じ取れば、悲しくもなる。
 
 
たぶん、そこで感じた痛みも怒りも悲しみも、実際のものなんだ。間違ってない。
私は、よくバスケボールにぶちあたる。痛い。とても痛い。
痛みがひいたあと、アザを見てずっと悲しくなる。悪意をむけられたと思うから。
 
でもね、と思う。
頭では理解しつつある。
悪意をもってバスケボールを投げつけてくる人はそうそういない。
そう見えちゃうのはたぶん錯覚。
 
たぶん錯覚。わかってるけど、ね。
 
自分でも困ってるよ。
最近多いんだほんと。
ボールにあたってばっかりだ。
 
バスケットボールがあたって痛がってるときは、とにかく痛いのよ。
ごめん取れると思って普通に投げた普通の野球ボールだよって言われても、頭ではわかる。どっちが悪いとかもない。でも痛いんだ。
どうしたらいいんだ。
 
うめざわ
※こんなこと言ってるからじゃあないと思うけど、頭痛いし喉も痛い耳もおかしいぞ。風邪なのかなあやだなあ台風のせいにでもしとくか