馬鹿にされたい?
一時期、友人が「馬鹿にされたい馬鹿にされたい」と言っていたことがある。
もちろん、見ず知らずの人からの蔑みの視線がたまらんとかそういうことではなく、
「(だいぶ年上の)(でも上すぎなくて)(でも余裕があって)(背が高くて)(スーツが似あって)(あ白衣でもいい)(ていうか白衣がいいかな)(そうそう白衣で)(聴診器もよろしく)(かつ眼鏡で)(髪は黒くて長すぎず)(靴とかはサンダルとかでいいけど)(顔は堺雅人の男性に)(ていうか堺雅人に)馬鹿にされたい」っていうことだったのだけど、
「馬鹿にされたい」ってなるほどなあと思ったわけだ。
恋い焦がれる憧れのあの人から馬鹿にされたいとは、ふつう思わないのだけど、
もしかしたら「おまえ馬鹿だなあ」が最上級の愛情表現かもしれないなと。
たぶんすごーくチープに言うと、
「おい鼻のあたまクリームついてるぞほら」「あ///」
「おまえはやっぱりばかだなあ」「ちがーぅばかじゃないもん!」
ていうバカップルなのだけど、
要は、自分の駄目なところも受け入れてくれたうえで、
それでも好きだって言われたいってことなのだ。
たぶん、やたら情熱的で盲目的な「貴女は世界一美しい!」よりも、
慈愛に満ちた「おまえばかだなあ」のほうが嬉しいってことだ。
素晴らしいから好きだじゃなくて、駄目でも好きだ、のほうが深い愛情ってことだ。
前述の彼女の場合、それが「馬鹿にされたい」って言葉になったんだろうな。
いやね、こんなことをつらつら書いたのは、
近所の親御さんが自分の子どもについて話すとき、
「あの子はまったく…」で始まったら、
最終的には必ず「でもま私の子やからな、しゃーないわな」で終わるのを何度か聞いて、ああ親の愛だなあと感じ入ってしまったからです。
うめざわ
※今日の味噌メニューは、かまぼこに柚子みそ。これいいぞ。