やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

文化の香り

イスラエル料理を食べたんだ。

白っぽいペーストと、白っぽい平らなパンと、揚げたミートボールみたいなんと、白っぽいなんかのソース。

 

もうね、なんかね、まったく知らない民族料理はほんとうにさ、何をどうやって味付けしてるのか想像もつかなくてだな。

メニューを見ると、白っぽいペーストはひよこ豆をすりつぶしたフムス。パンはピタという素朴なもの。ミートボールみたいなのは、これまたひよこ豆に砕いたナッツ類を混ぜて揚げたファラフェルというもの。ソースはわからん。まったくわからん。しょっぱくて何かの香りのするクリーム。

 

食べてもねえ、ほんとわからんのだ。

おいしいんだよ。おいしいんだけど。

どうやってこの味になってるかわからんのだ。

豆って言われたらたしかに豆だけど、それにしてはやたらクリーミーだし、なんか不思議な刺激もあるし、ミートボールはいわれなかったら肉かと勘違いするくらいだし、それにかける白っぽくてしょっぱいクリーム状のものは材料を推測することさえできなかった。

 

どれも食べるとインド料理を思い出すようなスパイスの使われ方をしていて、ああ我々の知らないスパイスがたくさん入ってるんだなあとかろうじて思ったのだけど、スパイスって面白いなと思ったわけ。

だってスパイス自体に味ないじゃんっていう。

 

単体でかじったら、しばらくくしゃみがとまらないくらい強烈なスパイスたちをさ、よくまあ混ぜていい塩梅にして使ってるよなあって。

だって、スパイス入れたって香りがつくだけで、味が変わるわけじゃないじゃない。

しょっぱくもならないし、あまくもならない。

でも、スパイス入れたほうがおいしいからって、どんどん使う。

 

おなかもふくれないし味もつかないスパイスとか出汁って、すこしでもおいしいもん食べようっていう人間の文化の香りそのものな気がして好きだなあ。

 

うめざわ

イスラエル料理のお店、けっこう繁盛してたよ。