やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

疲れない美術館

まえ、三重に行ったときに、

「重ねづけでセレブに!アコヤ本真珠ブレスレット500円」

っていう手書きのポップを見た。

友人の一言「5万円分買ってもセレブにはなれないよね」

そう、500円のものをいくら重ねたって、高級にはならない。

 

たぶんそういう話。

大塚国際美術館に行ったのだ。

世界の名画1000点ほどが、実物大で陶板に再現されて展示されているところ。

 

いやーーーーー不思議な経験をした。

私にとって美術館はすごく疲れるところなんだ。

展覧会を1時間も見たら、いつもはぐったりするのだけれど。

 

3、4時間平気でまわった。それでも全然足りなかった。

でもでも、ぜんぜん見た気がしないんだ。

某Mのハンバーガー3つ食べてもぜんぜんお腹が満たされないとかそういう感じ。

 

同行した友人いわく「実物大の教科書」

いくら見たって、たぶん何にもならん。

 

はなからイミテーションだと決めつけて見ているからなのかもしれないけど、

それにしても、見た気がしない。

 

あたりまえなのかもしれないけれど、

絵画作品って、描かれている画面だけをいっくら綺麗に再現しても、

だめなのね。違うのね。

逆に言うと、絵画作品を見るときに我々は、描かれている画面の情報だけを見ているわけではないのね。

 

美術館で作品を見るときは、

ありがたがって集中して見るから疲れるってのもあるんだろうけど、

それ以上に、

作家がその作品に詰めた時間とか熱意とか技術とか、

それが過去から今に伝わるまでに人々が注いできた注意とか歴史とか、

そういうものを勝手に想像してしまって、

脳内のその物語に圧倒されてるだけだと思ったのだけど、

それだけじゃないんだろうなあ。

 

本物のもつ何かはあるなあ。

身をもって体感するとなんかぞくぞくする。

どれだけ技術が進歩しても、

それ一点きりの本物しか持っていない何かがある。

そう思うとすごくうれしい。

 

うめざわ

※でもでも、教会内部をそのまま再現した「環境展示」はおもしろかったなああ

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