「富士山のような人」
一見綺麗なのに、近寄ってみるとそうではない人のことを、
「富士山のような人」と呼ぶ、らしい。
誰が言ってたかは忘れたが(アルピニストの野口健さんだったかなあ)、
あれだけ美しい富士山が実は登ってみるとゴミだらけでねというような文脈で出てきた不名誉な言葉なんだけど。
まあひどい言葉だ。
けど、これ、けっこうあるなあと思ったわけ。
いや、「大女優、4Kディスプレイで隠しきれない肌の劣化!!」とかそういう話じゃなくて。
ああかっこいいなあと思う人とか、業界とかありますよね。
こんなふうになりたいなあ、こんな仕事してたら楽しいだろうなあとか。
でもさ、そうやって憧れて、めでたく理想の会社で働き始めるとするじゃない。
とすると、たいていの人は言うよね、「思ってたんとちゃう」
まあこれ、あたりまえの話なんだ。
東京タワーから見える富士山と、
山中湖から見える富士山と、
登ってる最中に見る富士山、そりゃ違うよなと。
富士山、遠くから見たらあんだけ立派で荘厳でもさ、
ちょっと近寄ったら、全貌見えずに「…でか」ってなるだけだし、
実際登り始めたら、見えるのは足もとだけだし。
登り始めると、外から見てた富士山はもう見えないんだよね。
いくらあのなだらかな稜線が好きでも。
もし富士山登るなら、それを前もって覚悟しておいたほうがいいだろうなあ。
そこから見えるのは、富士山から見た山々だ。
うめざわ
※足もとの風景が、今まで見てた富士山とあまりにも違うから、せめて「富士山に登ってる私」を見てほしくなるのかしら。