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やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

私の重さはどれくらい?

天秤がある。片方に私がのっている。私の重さはわからない。けれど、誰かがむこうのお皿に載せる言葉はよく見える。

「いい加減部屋片付けなさい」「そういう服似合わないから」「なにやってもだめね」

そうやって私の価値が軽んじられるような言葉ばかりもらうと、天秤がぐらぐらする。私のお皿ががくんと沈む。なんどもなんどもぐらぐらすると、はたと気づく。

そうか、私なんて軽いんだ、重くなかった、って思うようになる。そうすると、軽い言葉をもらっても天秤はつりあったまま。とても安定する。

たまに、「かわいいね!」「才能あるねえ」「やっぱりすごいと思うわ」そういう価値のある言葉が載せられる。けれど、私は10gの人間なんだから釣り合わない。ほめ言葉が重すぎる。私はもっと軽いはずだ。そんな言葉は私にはいらない。

 

誰かを大切にするというのは、重しを惜しまず載せること。じゃないかしら。

「プライドは人から与えてもらうもの」(by鷲田清一)のビジュアルイメージ。

 

うめざわ

※この方が総長だった時代に大学にいたことをほんとうにうれしく思う。

第97回 「教育」なんてありません。(鷲田清一さん編)|本屋さんと私|みんなのミシマガジン