やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

同人誌作ってしまった

えっと、同人誌を作ったんです。先月の文学フリマ大阪で販売しました。1冊500円です、よければ買ってください。

 

なんてことを言う日がくるとは思ってなかった。そういうことをやってる人たちがいるのは知ってた。知ってたんだけど、そっち側にいくとは露ほども思ってなかったんだけど。

ずっとね、趣味で文芸的な活動をする人に対して「素人がなにやってんのw」って思ってたから。「え、小説とか書いて誰がよむのw」「かっこつけて詩とかエッセイとか書いちゃうわけw」っていう嘲笑がどっかにあったの。
もう4年くらいブログ私書いてるのにね、なぜかネット上ならまだ許せて、印刷したものを作るっていう段になるとどうしても抵抗があったねえ。

 

だがしかし。仲間内で原稿集めて、それに対してとっても真剣に読み合いをして、編集・印刷してっていう過程を通って、思ったのだ。
「どうして素人がやっちゃいけなかったんだっけ?」

素人の娯楽=趣味、だと思うのだけど、趣味はあらゆる人に本来門戸が開かれているはずなのだ。友だちと遊ぶためにボーリングやってもいいし、ママさんバレーとかもいいし、陶芸してみてもいいし編み物してみてもいいし。そうやって自分ひとりでやるものに対しては誰もなにも文句言わない気がする。
けど、歌う、踊る、書く、演じるとか、表現活動になると、素人がそんなことしてどうするの」って思いが頭をもたげるのだ。自分ひとりで完結しなくて、誰かが見たり聞いたり読んだりしないと意味がなさそうなものを下手な人がしてると、だっさいなあうっとおしいなあって思ってたの。

でもさー、素人だろうがプロだろうが、べつに何してもいいんだわ。表現系の活動だけを排除してたのは、それが特別なものだと思ってたことの裏返しだったね。けど、一度同人誌に寄稿してみたら、みんなで小説とか評論とか書いて持ち寄るのは、スポッチャでボーリングするのとなんら変わりがないことだと思うようになりました。文章書くことは、えらい人だけに許されたことでもないし、他の趣味に対してとくに高尚なことでもない、です。

ということで、私も見開き2ページほどのエッセイを書いた同人誌『sukima』、販売中です。1冊500円、A5版全74ページ。内容は、小説、評論、短歌、エッセイ。暮らしのなかで感じることを書いた日常系エッセイから、「人文学統一戦線に抗して」なんていうガチムチ系評論まで幅広く収録。残り少ないですが、欲しい方はなんらかの手段で私までご連絡ください。テレパシー可。

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うめざわ

※毎年この時期、社会人落語日本一決定戦なるものが近所で開催されていて、わりと見にいくんです。これ、アマチュアのなかから日本一を選ぶ大会なのだけど、そりゃもうべらぼうに上手いのです。全国から予選通過した10人の落語を無料で聞けるの、ほんとに最高で、落語会をコストパフォーマンスで測るならこれ以上のものはないと思ってるのです。(たいへん正直にいうと、この大会で有料プログラムに出演しているプロの若手の人より桁違いにうまい)アマチュアがプロより下手なんて、そんなはずはないって思える落語会ですわ。