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やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

二人称、ちゃんと使える?

二人称を使えない人がいる。
いつも、「私」が何をしたかか、「彼・彼女」が何をしたか、そのことだけを話す。「あなた」はどーお?げんき? それが言えない人。私が言いたいだけで、目の前の人には興味はない。聞き手は相づちマシーンになる。そうするとその人はご機嫌でしゃべり続ける。

そう思うと、二人称しか使えない人がいる。
「ぼくは、きみに早く帰ってきてほしいんだけど」がすなわち、「早く帰ってこい」と出力される。「私は不快だ」が即、「お前が悪い」になる。私は、と一人称を置いて話すことができない。

 

両者に共通するのは、目の前にいる人をないがしろにしていることだ。自分が話している相手は、自分と同じように意見があって、感情があって、それを言いたいし、聞いてもらいたいと思ってる人間だ、なんて想像が及ばない。自分の都合のいいように振る舞え、それだけを相手に求める。自分が泣いたら相手は慰め、自分が笑えばいっしょに笑ってくれる。そういう満ち足りたゆりかごから出たくないんだ。まずしくて、さみしい人たちだと思う。

うめざわ