やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

夜のレシピ本:『わたしのごちそう365』寿木けい

また好きなレシピ本が増えてしまった。

わたしのごちそう365-レシピとよぶほどのものでもない-

わたしのごちそう365-レシピとよぶほどのものでもない-

 

 こちらのアカウント<きょうの140字ごはん (@140words_recipe) | Twitter>の書籍化だってばよ。そりゃもう、すぐ買った。


ひとつのレシピ読んでは、はあ。ふう。
もうだめだ、クラクラする。

200字足らずのレシピ文章、
そこから漂う知性の香り。
なんなんだ、この品格は。

たまに出会ってしまうのです。
えんえん、ちびちびやっては、
フラフラになるウィスキーのような本。

いやさ、まえまえから言いたかったんだけど、
レシピ本にも2種類あると思っててね、
それは、「夜」と「昼」。

たとえば栗原はるみさん、飯島奈美さんとかは昼。
でも、平松洋子さんは夜。

昼のレシピ本を繰っていると目に浮かぶのは、
明るくて大きなテーブルで、
大勢が集まってうわーーっと喜びながら食べる光景。
幸せな日曜日のお昼。あふれでる安心感。

そして、この本もそうだけど、夜のレシピ本を眺めると、
なんかね、ゾクゾクする背徳感がある。
「私だけがこんな美味しいものを
愛でてていいんだろうか」って、
こっそり愉しむ大人の味をおぼえる。

こっちのイメージは、金曜の晩。
一週間を終えて、ぱぱっとひとり、
もしくはふたりぶんのお膳を整えて、
お酒片手にふっとほどける。そんなイメージ。

静かで気だるく慎ましい充実感。

レシピ本や食べ物エッセイは、昼の明るさでおなかいっぱいにしてくれるものが圧倒的に多い。

ことばに酔えるような夜のレシピ本はほんとうに少ないんだ。
でもこれは。これを待っていた。

 

うめざわ

※左隣のサラリーマンがKindleで本を読んでいる。
「茄子の思想」二度見。「荀子」だった。
筍にも見える。茄子と筍か、いいな、合わせるなら豚だな。
味付けは味覇かしら、甘味噌もよさそう。