やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

どっちでもいいよ

はやく遠くへ行くことだけが、正解じゃない。

下向いて、あたりをキョロキョロしている人を馬鹿にしない。
考えること、いっぱいあるのかもしれない。
花を踏まないようにそっと歩いてるのかもしれないし、
陽射しがきもちよくて、存分に味わっているのかもしれないし、
誰かあとから来る友だち待ってるのかもしれない。

下を見て、ゆっくり歩いている人を馬鹿にしない。
前だけ見て、一気に突っ走ることだけをよしとしない。

同時に、脱兎のごとく走り抜ける人を蔑まない。
向こうの岸辺にかわいい子猫がいたのかもしれないし、
何かの大会に出たくって練習しているのかもしれないし、
誰かを助けに行く途中なのかもしれない。

のろのろしてたら、手に入らないものだってきっとある。

わたしは、あの人と違うかもしれないけれど、
だからといって、あの人を嫌ったりする必要もない。
仲良くする必要もないのだけど。

 

うめざわ

※自分が手にしているものを過小評価せず、相手が持っていそうなものを過大評価しない。これさえ、これさえできれば。