視線はいつも男から
男が女を見るとき、自分はテレビのまえにいて、女は画面のなかにいると勘違いしている人がいてね。視線はぜったい一方通行、安全な場所で言いたい放題。でもあるとき、自分も女に見られている存在だってわかるとびっくりしちゃうんだ。心地のよいこちら側から、マジックミラーの向こうのあちら側を好き勝手眺めていたのに、じつはそんな間仕切りなんかなくって、自分たちの姿も女からぜんぶ見られていたっていうショックなんだと思うんだ。男は見るだけで、女は見られるだけ、ってほんとうにそう信じている人がいる。そしてそれを信じていることにさえ自分で気づいていない人もいる。
うめざわ
※「愛され」を目指す女は自ら進んでマジックミラーの奥へ潜む。