猫にお灸
豚に真珠、馬の耳に念仏、猫にお灸。いや最後はことわざじゃない。事実なんだ。猫にお灸。もしくは猫に鍼。猫業界ニュースのなかでも、これは相当上位に来ると思うんだな。キテるらしい、猫への漢方医療。
冷静に考えてみりゃ驚くことじゃないかもしれない。だって動物病院ってのはみんな知ってるわけで、それの東洋版が出てきたってただそれだけの話と思えば。でもそうじゃない。骨折ったときに鍼灸院には行かない。たぶんなんとなく慢性的に調子が悪いときに行くんだ。つまり、急は要さない、そしてそんなに重大ではない不調のときに東洋医学は利用される。そこから考えるとね、猫にお灸を据え、鍼を打ってる写真を見て衝撃を受けるのは、動物への過剰なケアを感じるからだと思うのだ。
動物って、人工物じゃない。あたりまえだ。つまり、自然の一部だ。私のなかでは、観葉植物とペットは、家のなかにある自然というジャンルで同じだ。自然だから、人の手はそこまで必要としていない。だから世話は最低限のものだ。カリカリのエサをやり、水道水をやり、ねこじゃらしで遊んで、それくらい。
でも、わかるんだ。家庭内にいる動物が人間と同等に思えてしまう気持ちも。
ペットは家族である。
家族の構成員は人間だ。
よって、ペットは人間である。
っていう三段論法によって、「ペット=人間」と扱う感覚もわかる。この子は私と同じだ、と思うと、そりゃ文化的な最低限度の生活ではなくて、もっと上質な何かを与えたくなる。その延長線上に、猫への灸がある気がした。
うめざわ