やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

高野山からのDM

一度泊まった宿坊から毎年封書が届く。開けば和紙風の紙に、縦書きの達筆風フォント。句読点もなく、そのレイアウトは経文のごとし。

「謹啓平素は御無音に打過ぎ欠礼いたしました追々暑さ厳しくなって参りましたが云々」

文中、フォントサイズを拡大して「盂蘭盆会」「施餓鬼大法要勤修」の文字が鎮座。

そして最後「御送金の節は同封振替用紙を御利用下さい」と、慣れ親しんだ赤い振込用紙。返信用封筒は、「和歌山県高野山 ○○院執事御中」と筆字で記入済み。異世界からの手紙。

 

うめざわ

高野山はなにかある。あれほど下界から切り離された神秘的な町もない。