火事場の番狂わせ
期待されない、見放される、追い込まれる。これがバネにもなるらしい。希望をもらえる。
「あいつらを見返してやろう、この下馬評をひっくり返してやろう」という怒りに満ちた反発心というより、これは「このまま負けてしまったら、日本のサッカー界がとんでもないことになる」という危機意識が生んだ結束だと思う。思わずこぼれた「やってやった」のひと言に込められた「そら見たことか感」は当然の感情だけれど、それくらい追い込まれていたのだと、追い込む心境がゼロではなかった呑気なファンのひとりとして想像する。
ぼく自身の経験を振り返ってみても、まわりから過度な期待をかけられている状況(この期待に応えなきゃ、というプレッシャー)よりは、まわりから期待されず、むしろ小馬鹿にされているくらいの環境のほうが「この状況をひっくり返してやれ」の力が出やすい。下馬評が低ければ低いほど、ジャイアントキリングを演じる欲が、ぐんぐんに高まる。
うめざわ