やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

輪が見える

目の前にいる人たちが手をつないで大きい輪をつくっている。
そんときわかるのよね。
ああこの輪が見えちゃうということは、自分はそれを外から眺めているんだなあ、輪の外にいるんだなあ。
 
そうすると、ああ私はひとりなのかなあって思うのだけど、たぶんそれは勘違いで、
ほんとうはその輪の外に、何人もひとりで佇んでる人がいるのよね。
 
でも私はひとり違うところにいる、って思った瞬間、大きい輪と私しか見えなくなっちゃうのよね。
なんでかっていうと、優しい見方をすれば、多数派と相入れない孤独感だけが頭を占めて絶望的な気分になるから。
いじわるな言い方すれば、輪に入らない私=大衆に迎合しない私=価値のある私、に浸っちゃうから。
 
でもまあ、たいがいにおいて、目の前に見えてる輪って、自分が勝手に輪があるように錯覚してるだけのことが多い。
似たような人がたくさん集まってても、みんながきっちり手をつないでいるわけじゃあない。よく見たらわかるんだけどさ。
一瞬だけ見て、あ輪だ排他的な輪だ、って決めつけて、ひとり孤立する。
 

勝手に勘違いして、勝手に苦しんだり、勝手に優越感に浸ったりするのよね。なんだかなあ。

たぶん実体のないものに苦しんでるんだけど、苦しみはリアルなものなのよねえ。どうしたらいいのかなあ。
 
うめざわ
※たぶん、想像するより人はやさしい。