やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

やなことあったら時計見ろ

喉元すぎれば熱さを忘れるって、言い得て妙だと思うわけです。そりゃ言い得て妙だから、ことわざとしてずっと残ってるわけなんだけどさ。

 

たいへん唐突なんだけど、感情もたぶん同じだ。できごとは食べもので、感情は味ね。
ものを口に含んで、「わーおいしい!」とか「まっず!!!」とか一瞬味わって、飲み込んで、おわり。一口で味わってる時間なんて10秒もないんじゃない。そんなもん。

いやなこととかうれしいこととか、実際にそれを体験してるのはほんの一瞬。で、直後は残った後味を味わって、味が消えたあとは「私はこれ食べた!」って記憶をたぐってきて反芻してる。

 

そして最近思うのが、どんなにまずいもの食べたとしても、吐き出したくなるような嫌悪感は1時間も続かないよってこと。そりゃ、腐ったもん食べちゃったよさいあく!って記憶は残るよ、けど、舌のうえに嫌なものが残ってるのはどんだけ長くても数時間だ。

ねちょねちょ糸ひくような腐ったもん、口に突っ込まれることがなぜかあるけれど、そういうときは、「この味がどれくらいで消えるのか」実際に測ってみるとおもしろいよ。どんなにひどくても、フレッシュで爆発的な不快感は数時間でぜったいに消えるから。

やなことあったら時計見ろ、こう書いて壁に貼ってる。

 

うめざわ

※My格言シリーズ。