やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

親子川の字、電車内

電車の7人がけの椅子、向かいの左側。端から父・子・母。

まんなかの子どもは寝っ転がっている。

父・子(足→頭)・母

お父さんのももの上に足、お母さんのもものうえに頭。たぶん5歳くらい。身長そんなにないから、子どもは一人分の座席内の幅に収まっている。

お母さんが、手をすばやくこすりあわせる。その左手を、子どもの目のあたりにそっと置く。お父さんは中国語の小説らしきものを読んでいる。お父さんの顔を攻撃するかのようにバタバタしてた子どもの足がしずかになる。

 

うめざわ