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やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

「まじめだね」って、褒めてるの?

「まじめ」って、「やさしい」と肩を並べる万能な褒め言葉だとなんとなく思ってきたけど、違うね。これ。むかしは、恋愛・結婚の文脈で「まじめな人がいい」って結構言われてた気がするんだけど、今そんなこと言う人いるのかね。いやさ、いないんじゃないかと思って。

結論から言うとね、「まじめだ」というのは、上から下に与えられる褒め言葉だと思い始めたのだ。「いい子ね」と同じ部類のさ。

だって考えてごらんよ、身のまわりの「まじめな人」、思い浮かべてくださいな。いるでしょう、どこに出しても、まじめだねえって言われてる人。小学校のときでも、中学、高校でもさ、大学でも、職場でも。いたでしょ。でさ、あなた、その人に対して、プラスの意味で「まじめだ」って言うことあるかい?

私はない。ないよ。基本的に「あの人まじめだからなー」って言い方になって、込めてる思いは、ニュートラルか、マイナスかのどちらか。そのあとに省略されている言葉は、①「えらいなー」(ニュートラル。とくに意味はない。そっちのほうが評価されるらしいのはなんとなく知ってるよ〜くらいの意味) ②「めんどくさいなー」(マイナス。融通きかないからやだなー)

どちらの場合も、「私はそんなことまで気にしないんだけど、あの人は私と違ってそこまでするからなあ」が隠れています。そう、友人知人に対して「まじめだね」って言葉には、「私と違って」というトゲがつねに生えていると思うのです。

ただし、場面によっては「あの人まじめでさー」が褒め言葉になる。それは、あの人が自分にとって便利な存在の場合は完全にプラスの意味だ。あの営業さんまじめでさあ、あの子ほんとに真面目で成績よくって、とか。その場合は、「ありがたい」って思いが裏っかわにひっついてるよね。あの人がまじめだから、私が助かる。そうなんだよ、まじめな人っていうのは「上」の人にとって扱いやすい「下」の人なんじゃあないの。「まじめな生徒」は間違いなく褒められているけれど、「まじめな上司」になると、ほら、うっすらと面倒だな……というにおいが漂ってきませんか。

はーあ。やな気分になってきた。私はずっと、まじめだと言われてきたさ、ええ。それを聞くたびにおぼえた疎外感とやるせなさを思い出してきた。「すごいね、私と違って」の隠れたトゲに刺さり、「迎合してくれてありがと、これからもよろしく」と強者から睨まれた気分になるのです。


うめざわ
※ほめるんだったら、「まじめだねえ」じゃなくて、「よくがんばってるね」って言ってほしい。努力をパーソナリティーに回収しないで。