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やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

用法・用量を守って正しく飲むべきでした

毎日鉄剤を飲んでいる。昨日のことだ。夜の分を飲もうとして、朝飲み忘れたことに気づく。2錠一度に飲む。あれ、ずいぶん残ってる。そうか、その前も飲んでないな飲まなきゃ、と思ったときには2回ぷちぷちとアルミを破り、さらに2錠を飲んでいた。通常量の4倍が体に。数時間後、猛烈な気持ち悪さに襲われる。座っていられない。ベッドで横になる。


人間は、不快感のある部位を触らずにはいられない。みぞおちのあたりに手をあてる。すこしずらす。またあてる。あったかい。人の手はあったけえんだなあ。けど、今はあったかさなんかいらねえんだばかやろお俺はきもちわりいんだきもちわぐえええ。吐きたい。吐けない。あまりの気持ち悪さにスマホを掴む。医療職の友人に電話する。出てくれ出てくれ出てくれた。神だ。事情を説明する。笑われる。ひどい。水を飲め、寝たら治る、薬は量を守れと言われる。電話を切る。わかったよ水飲むよ。ねこが枕元に座っている。ねこよ、我が愛しのねこさまよ、毎日とは言わぬ、せめて今だけでも水を持ってきてくれ。お願いだ。助けてくれ。命の危機なんだ。このとおり。げえげえしながら懇願する。一瞥もくれない。彼女はゆうゆうとベッドをおりて、こたつへ向かう。丸くなる。くそ。ゔー。台所へ向かう。寝てやがる。くそ。もうえさやらんぞ。好きな海苔やらんぞ。ふん。怒ってみる。やっぱり気持ち悪い。ゔー。水を飲む。もっと飲んでやる。もっと飲むぞ。いや、もう無理。2杯半飲む。水飲み過ぎた気持ち悪い。ゔー。振り返る。ねこを見る。寝てる。ふん。わたしもねるよ。ゔーづらい。布団をかぶる。お、おれができるのは、こ、ここまでだあとはお、おまえのからだにま、まかせてやれぱたり。まだぎもじわりいよーゔー。ゔー。


と唸りながらみぞおちに手をあてて横向いて背中丸めて寝たのを覚えている。薬は、用法用量を守って正しくお使いください、まじで。

 

うめざわ

※電話した友人も、サプリメントを一度に大量に飲んで気持ち悪くなったことあるようで。凡庸な教訓:何事も過剰はよくないものです。