やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

柿がない

あーめーがーーひどいーーなーー
たいふーーーーだーーー♪
かーぜーもーーひどいーーしーー
やねがーーとーーぶーー♪

(海はひろいな、にのせて)

うめざわ

※疲れているのだ。帰ってきたら、柿がひとつなくなっている。はて。うちの猫が窓を開けて、食べにいったわけでもなかろう。熊が奪ったわけでもなかろう。とするときっと原因は台風だ。干していた3つの柿のうちひとつを風で落としたのだ。このまえ一つ食べたから、引き算してみて。そう、今あるのは最後のひとつなのだ。ラスト干し柿を救出しようとして、手を伸ば、した瞬間後悔する。なんということでしょう、2週間かけてじっくり飛ばした水分をまるまる吸い込んでだぶだぶになっておられるではないか。ああ無情。ああ非道。台風お前はなんなんだ。なんの権利があって私の干し柿を濡れ鼠にしたのか。水がしたたる干し柿干し柿ではないじゃないか。ああ私の干し柿ちゃんよ。愛しの愛しの干し柿よ、どうしてあなたは泣いているの。繰り返す。私は疲れている。