やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

「いらっしゃいませ」は空中に

 いらっしゃいませー、ってなんか居心地悪いなあと思うのよやっぱり。

返せないから。

というか、返事をしなくてもいい「いらっしゃいませー」を浴びすぎて、

自分に向けられた挨拶を無視するのが普通になってしまった、ってことが不自然だと思うのだ。

なんかやっぱり変だよ。

「いらっしゃいませー」「…」

「…」

「198円になります」「…」

「ポイントカードはおもちですか?」「…」

「200円お預かりします、2円とレシートのお返しです」「…」

「ありがとうございましたー」「…」

 

目の前の人から、一方的に言葉を浴びせられるだけで、自分は何も発しないってさあ、

反抗期のこどもか、て気がするのよね。

「あれ帰ってきたの?今日どうだった?」「…」

「ご飯は?」「…」

「いるの?いらないの?」「…」

「なんか言いなさいよ!」「…いる」

ふつう腹立つと思うのよね、自分の発した言葉が相手に届かないと。

言葉がちゅうぶらりんのまんまだと、イライラするじゃない。ふつう。

 

でもさ、いらっしゃいませ、は違うよな。

コンビニ入って、いらっしゃいませーって言われても、ファミマの自動ドア開く音聞くのと同じでさ、なんとも思わんわけ。

目の前に店員さんがいたらもしかして、会釈というか首すくめることはするかもしれないけど、こんにちはとか返す人は見たことないよなあ。

いやべつに、すべからく人と人とは目を見てさわやかに挨拶せねばならぬ!とか言いたいわけじゃなくて、

なんか、こう、消費者という立場だけで、誰かから声かけられても無視していいことになってしまってるのがこわいなと。

慣れすぎて無視してるとも感じてないしね。店員さんのいらっしゃいませ。

たぶん誰しも、親から「返事くらいしなさい!」って怒られたことあると思うんだけど。

なんだかなあ。

 

 

うめざわ

※スタバの店員さんはこんにちは、って言ってくれるから好き。よく行くお店とかも、あこんにちはーって言ってもらえるとちょっとうれしい。