やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

残すことは、生に逆らうことだ

何かを残そうとする行為って、生きることに逆らうことじゃないかね。大胆な仮説。(いちおう、10/5のつづき)

生きてたら、どんどん消えていくんだ。しゃべった瞬間に音が消え、見た景色だって背中をむければもう見えず、誰かと楽しく過ごした時間だって1年後にはほぼ忘れてる、みんな100年たったらここにはいない。
その流れに逆らうのが、「残す」ことなんだ。残るものはべつにいいんだ、残さないと消えちゃうものを残す。消えちゃっていやだから、残す。

 

で、だ。わざわざ「残す」んだから、何を残すかは自分で決めたい。どんどん変化する自分を「残す」なら、一番いい自分を選んで残したい。ばっちり化粧して髪巻いて出かけた場所でなら撮られてもいいけど、寝起きしょぼしょぼ顔はぜったいにやめて欲しい。人の目を意識している状態なら残してもいいけど、そうじゃないときはだめ、だって「見られる用」じゃないから。

「残す」と「見られる」は似ている。
動物的に生きていたら諸行無常、すべてが流れ去るだけだけだ。でも、自分以外の誰かに「見られ」「聞かれ」たものは、その誰かのなかに残る。誰かのなかに残るものは、自分ひとりのものではないから、ちょっとおめかしした特別なものにしておきたい、そんな感じじゃないかなあ。

たぶん、この世界に私ひとり、過去も未来も私ひとりだったなら、何かを残すとかそんなこと考えないはずなんだ。

 

うめざわ
※今日のお弁当はミートソース。汁気とばしたしお箸でいけるやろ、と思ったら、見事に口元でこぼす。よりによって白いシャツ。転げ落ちるひき肉たち。第2ボタンから第4ボタンまでオレンジの点々。体のまんなかに日傘を抱いて帰りました。あーあシミが…