やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

値札を下げた、いっぴきの人間

首から下げた値札を自慢されることがある。ぎょっとして、うろたえる。

いや、君が年間でいくら稼いでいるか、稼ぐというかもらっている額なんだろうけれど、友だちとして関わるうえではその情報いらないよ。

べつに私は君の労働力を買おうとしてるわけじゃない。ふつうにいっしょにごはんを食べたいだけなんだ。

君は資本主義の労働市場で、いかに自分を高く売るかをいつも考えているでしょう。高く売れる人が強くてえらい、と思ってるわけでしょう。

いや、うん、まあ、そういう場所があるのはわかる。けど、今はさ、ごはん食べてるんだから、いっぴきの人間として、おいしくごはん食べるだけでそれで十分じゃないかな。ほら、冷奴まだあるよ。

うめざわ

※なんであれ、値札を誇示するのは上品でないね