やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

パキラさんの夏

うちのパキラさん、夏が大好きなんです。
暑い日は、家に帰ってきて「…ん?」て訝しむくらい
一気に葉っぱを大きくするんです。

今年は5月入って20度を超える日が続いたら、
メキメキと新しいちっこい葉っぱを出してきよりました。
大人になるとほそーくスタイリッシュな5枚の葉っぱですが、
赤ちゃんのときは、やわやわでちょろちょろなんです。
かわいらしいんですよねー。すぐ大きくなるんですが。

冬のあいだはね、パキラさん、微動だにしなかったんですよ。
植物も冬眠するのねえ、っていうくらい、
葉っぱは緑のまんま、変化ゼロだったのに。
ここへ来て、ぐいぐい成長中。
ひと夏超えたらどうなることやら。

 

うめざわ

※強くて育てやすいとは聞いていたけれど、葉っぱだけをちぎって花瓶につけておいても半年以上ピンピンしてます。つええよ。

お店の人も人間だ

ちいさな喫茶店で、完璧なる不機嫌対応の店員さんに出会う。
水を注ぐのも、コップを置くのも、オーダー聞くのも、
同僚に頼むのも、声かけるのも、まあ見事なまでにイヤイヤモード。

ねこ背で肩をまるめ首をつきだし
唇をつきだし顎をしゃくり音を立てつつ作業する。
声を出すときは、顎をしゃくり、できうる限り低く小さく短い返答。

あっぱれな不機嫌さ。
あまりにもゼロ円スマイルに慣れきっていて、
こういう店員さんを見かけると、お店の人も人間だ、と思い出す。

 

うめざわ

※頼んだサンドイッチは断面がとってもきれいに切られてた。

君にはできない、諦めろ

「すごい人」を見ると落ち込む。
そういうことがある。

もうなんであれ、自分が圧倒されると、
それだけで負けた気分になる。
私はあんなにできない、私はだめだ私はだめだ、
と勝手に自分を持ち出して、卑屈になる。

テレビのなかの人、
舞台のうえの人、
表彰台にのぼる人を見て、
即座に自分と比べる。

これ、よく考えると、とっても図々しいのね。
だって、ちがうじゃん、私とその人たちは。

結果だけ見て「ああ私はそこまでじゃない」って
比べるのは、「私もできるかも」って思ってるんでしょう。

がんばれば私もできるはずなのに、できてないからくやしい。
こういう思考回路だと思うのだけど、
あまりにもリスペクトが欠けている。

卑屈に見えるけど、自分の可能性に対しての誇大妄想。

 

あのね、と切り出す。
がんばったってね、君にはできないよ。
あきらめなさい。
できると思うのは傲慢だ。

その代わり、君は別のことができる。
そっちを見よう。

うめざわ


※でも、諦めるより、諦めないほうが楽。

親を嫌うの、楽じゃない

ああもう、この手の話題は、
どうも口が重たくなるんだけれど、
言わずにはいられないので、今年も言うよ。

母の日なんてくそくらえ。

大好きなお母さんに、心を込めた贈り物を♪
いつもありがとう♪
とか煽られると、心がキーーーンとなります。

そして、
「母の日なんもしないのー?」的な
軽いキャッチボール程度の言葉でも、
私は受け取ったら爆発します。
それボールやない、手榴弾や。

もうやめてくれーー。
私だってなんのためらいもなく、
母の日にプレゼント贈ってみたかったさ。
そして、喜んでくれるような母が欲しかったさ。
初任給で家族ディナー!とかやってみたかったさ。

無理だもんね。
私だってそういうのしてみたかったよ。

だから、「親に感謝できない親不孝者」みたいな
レッテル貼られると二重でつらい。
愛のある密な親子関係が築けていないことを、
子どものせいだけにしないでほしいよ。
親の責任だってあるでしょうよ。それも合わせて見てくれよ。

親を嫌うのは、つらいです。
なにより、100%嫌いになれないからつらいです。
十分に苦しんでるから、もうこれ以上、まわりから責められたくないです。

 

 

うめざわ

※[再掲]母の日なんてくそくらえ - やどかり(2013/05/11)

やるときゃやるぜ?のツツジさん

ツツジの季節です。
道端に惜しげもなく咲きこぼれるもんだから、
毎年毎年びっくりします。
あら、君もツツジだったのねって。
だって、ありふれたどこにでもある緑の葉っぱじゃないですか。

道路脇の地味で無骨で丈夫そうな緑のかたまりが、
今の時期は、まるごとぜんたいが花束に。
ひとやまぜんぶ花だもん。

ふだんの姿が慎ましい分、派手さが際立つ。
やるときゃやるぜ?のツツジさん。
まだまだそこかしこで勇姿が拝めますね。

 

うめざわ

※日がながーいねーーー。時間感覚が狂うけど、うれしいねーーー

イワゴーさんはたぶんネコ

イワゴーさんですよ、イワゴーさん。
あのイワゴーさんの写真展が、梅田の!阪急百貨店で!やってるの!

と言ったら、「……だれ? 知り合い?」と言われてへこんでいるんですが、
あのイワゴーさんをご存知ない? ほんとに? うそだあ。

だって、ネコといえば、イワゴーさんじゃないですか。
いまや、NHKでもネコを映しただけの番組がある時代ですよ。
その「世界ネコ歩き」のイワゴーさんですよ?

初めて聞いた!って方は猛反省してくださいね。
お家帰って復習ですよ。
岩合光昭 ネコ」でググるんですよ。

ネコを撮らせたらセカイイチのイワゴーさんの写真展が、
そうそう、いま梅田でやってるの。5月9日まで。

「ふるさとのねこ」|株式会社クレヴィス


見てきたよ。もちろん。
イワゴーさんが撮った写真が、テレビ画面大くらいに引き伸ばされて
会場中にあるんだから、もう窒息しそうなくらい最高。
そしてネコはかわいい。ネコはどんなネコでもかわいい。
だからネコについては何も語らないけれど、
イワゴーさん、あの人ネコだよ。

ほんとにネコがネコ然としてるの。
威嚇したり、怯えたり、警戒したり、
そんな姿じゃなくって、
ごろんごろん、ぴょんぴょん、
のしのし、てくてく、でろでろしてるネコの
自然な姿が写真になってるの。

どうしてネコがカメラのまえで、完全にリラックスしてるのさ。
しかも至近距離でね。ふつう無理だよ。

ネコの普通をあれだけ見られるのは、ネコしかいないはず。

だからイワゴーさんはたぶんネコ。決定。

 

うめざわ

※この企画自体は、津軽のネコを1年間撮ったもので、冬の終わりにうまれた子猫がボス猫になるまでを追うことができる。見てると、ネコにもそれぞれお母さんがいて、兄弟もいて、兄弟でも仲の良し悪しがあったり、性格の違いがあったりするんだよなあ、ああ君あれだけかわいいお顔してた君がこんなにガラの悪いボスになるのねえ、ああ成長は早いわ愛おしいわねえ君も立派なおとなになったねえネコさんちゃんと生きてるなあネコさまネコさま南無南無ってなります。

どっちにしたって

ゴリゴリバリバリメキメキ生きている人は、
これだけでいいのかなあって悩んでいるし、
ゆるゆるへろへろとろとろ生きている人も、
こんなんでいいのかなあって悩んでいる。

みんな意外と健気に生きてる。

 

うめざわ

※液晶画面のなかで、私はこんなに幸せだっていちいち教えてくれる人も、たぶん自分の部屋ではしょぼんとしてる。