やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

自由を獲得する料理

ぜったいむりだよ!と思っていたことが、

やってみたらできちゃった。

こういうときは、おぉじぶん大人になったな!ふふん!って思うわけです。

 

そういう達成感をお手軽に得られるのが、わたしにとって料理なのです。

 

 

たとえば、

スーパーに行って、焼き芋を買うんじゃなくて、

さつまいもをどうにかして蒸かしておいしく食べるとか、

いままで見たこともなかったこごみという山菜というかなんというかを買って、

なんとか料理するとか、

 

たとえば、

うしゃ、やるぞ!と思い立って、

シチューを小麦粉からつくってみるとか、

カレーをルーなしでカレー粉とトマト缶でつくってみるとか、

ベーグルをじぶんで焼いてみるとかね。

 

いままで、じぶんが作れるなんて思ったことなかったものを、

じぶんで調理してみると、

なんかねー、世界を手中にした気になるんだわ。

 

買わなくてもじぶんで作ったらいいんだわ!って思えたときの開放感はすごい。

消費社会から一歩外に出た気がするからかしら。

 

今日は、たけのこをまるまる1本買ってきて、茹でてみました。

一週間くらいまえに居酒屋(とり竹)で出してもらったたけのこが、そりゃもう、ほんとうにおいしかったのです。

そんなの食べてしまったら、自分でも料理してみたくなるのが好奇心ってやつで、スーパーで安くなってたやつ(1本350円)を買って参りました。

見たのも触ったのも初めてだから、切り方もゆで方も何もかもわからないところから、パソコンをカタカタしつつ、調理。

 

ちゃんと糠と唐辛子で茹でて、一晩冷まして、切って、甘辛く味付けして食べましたよ。

感動した。

 

そりゃね、お店で食べたもんには間違いなく劣るんだけどもさ、

ああ、たけのこの皮って動物の毛みたいなの生えてるのね!とか知ったり、

皮ばっかりじゃん食べるとこどこだよ!って思いながら皮むいたりしてさ、

1時間くらい茹でて鍋やコンロがぬかだらけで汚くなったりさ、

そういうのをじぶんで体験してから、食べると、そりゃー楽しいよ。

一大エンターテイメントですね。

 

一回やればさ、次に採ったばっかりのたけのこ見てもさ、

あ、わたしこれちゃんと食べられるわって思えるから、

選択肢がぐんぐん広がるわけです。

いままでだったら、あぁ水煮じゃないと無理だわって思ってたのにね。

 

じぶんができることが増えて、どんどん自由になる感じ。

これが嬉しくて、私は今日もごはんをつくるのです。

 

※家にある乾物の類をガラス瓶に詰めてみました。大豆とか切り干し大根とか干し椎茸とかひじきとかね。やーかわいい。ずっと愛でていたいくらいかわいくなった。