桃源郷に住んでみる?
自分が都会のアスファルトの上に膝をつきそうなとき、もしくは満員電車のなかで窒息しかけたとき、とおくに桃源郷リゾートが見えたらそっちに走り出すのは責められることじゃない。
「あそこの大企業リゾートは、時間もあるしお金もあるし、まわりからもすごいって思われるしめっちゃいいらしい」「むこうの研究エリート・リゾートは、自分の好きなこともできてさらに社会的地位が高いらしい」「でもこっちの非正規パークは、なんかかわいそうだけど自由そう。ぼくは行かないけどね」「あ、個人でベンチャーリゾートつくるのもありなんだな、すごいなあクラウドファンディングかー」
けどねえ。けどねえ。そのリゾートは遠くから見るから天国なんだよ。桃源郷に住んでる人に会えばいい。ここ地獄ですけどって言ってたり、その人どうしても餓鬼にしか見えなかったりする。むしろ馬鹿にしてやまない近所のうらぶれた公園だとのびのび遊べるかもしれない。ここではないどこかを天国認定して、何かから逃げるように走り出す。仕方はないけど、たぶん無意味。
うめざわ
※ジェーン・スーさんの新刊。カネで解決するものは何かといえば、あらゆる疲れ。仕事に疲れてマッサージ、失恋した後輩を連れてマッサージ(と肉)。こうやってスパスパ(SPA&SPA)生きるお姿は清々しいです。