やどかり

昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)

結界がない

誰かと散歩していて楽しいのは、

ああこの人には私に見えてる結界がないのか!って驚くときだな。

え、そこ行くの!?っていうやつ。

 

たとえば、私にとっては服屋さんってのは基本的にこわいところだから、

ほんとうにユニクロとかさそういうところしか入れないけど、

友人と街をふらふらしてたとき、

あそこ行こうってずんずん歩いた先が、

雑居ビルの2階にある古着屋さんだったときとか、

ここ寄るって普通に入ってったお店が、

ふつうのカットソーだけでも2万円くらいするたかそーできれーなとこだったときとか、

やっぱり非常に驚く。

ああ、私にとっては入ってはいけない世界だと思ってるところも、

彼女にとってはあたりまえに存在してるのねって。

 

私にとっては入り口に結界が張られてててさ。

べつに誰に言われたわけでもないし、見えるもんでもないんだけど、

入っちゃいけないわけ。

敷居が高いってそういうことですよね。

 

でもそういうのは万人が同じように感じるものでもないんだなーって、

この人と私に見えてる世界はぜんぜん違うんだなーってそれを実感するときはたのしいよな。ほんとずいぶん違うから。

 

うめざわ

※ 文化庁が発表した平成20年度「国語に関する世論調査」では、「あそこは敷居が高い」を、本来の意味である「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」で使う人が42.1パーセント、間違った意味「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」で使う人が45.6パーセントという逆転した結果が出ている。(敷居が高い とは - コトバンク