対蝉戦争窓際箒作戦
頼るべきは、己のみ。
身ひとつで大きな敵に立ち向かう。
そう、ひとり暮らしの家に
招かれざる客が侵入したときは。
朝6時、重たいまぶたに日の光をあてる。
メガネを装着し、カーテンを開け、窓を開け、
あ、そうそうタオル取り込まな……
ジーーーーーーーーーーーーー
おいおいおいおいおいおいおいおいおい
やめてくれ。タオルに止まるなよおまえ。
床で足をうごうごさせて、ジージー叫ぶ黒いもの。
一瞬の静寂。
部屋のなかには、そいつと私。
追い出すためには、私が戦わねばならない。
対決に際して、まずメガネを外す。
目が悪いというのは便利なことで、
裸眼で見れば黒い塊。
足とか頭が見えないと3%ほどマシになる。
さらに、キッチンペーパーを取り出し、
身体めがけて投げる。
ヤツはやめろと叫ぶ。私は後ずさる。
しばらくすると黙った。
よし、姿が見えず、声も聞こえなければこっちのもんだ。
我が陣営最大の武器、ほうきを用意する。
柄を最大限長くして、へっぴり腰になる。臨戦態勢。
なるべくヤツと距離を保ったまま、
ほうきの先でキッチンペーパーごと窓際へ追いやる。
そのまま壁伝いに持ち上げて、えいやっと放る。
ああよかった飛んでった。
うめざわ
※私はその昔、実家の壁に張り付くGを指差して「せみ!せみ!」と喜んでいたらしい。ほらね、やっぱり蝉=Gなわけですよ。あーーー汗かいた。